ステイホームで本を読む機会が増えと言っても新しく何か本を買って読むというよりは以前から好きな小説を少し読み返してました。
結末がわかっていても面白い本は面白いし好きな本は好き。
備忘録がてら好きな作家の好きな本を記してみます。
今回は”伊坂幸太郎”
伊坂幸太郎ってどんな人??
まず最初に伊坂幸太郎ってどんな人なのか。
1971年5月25日生まれの49歳(2020年8月21日時点)
千葉県松戸市の出身ですが現在は仙台に在住しています。
そのため伊坂作品は仙台が舞台の物が多いです。
元々システムエンジニアをするかたわら文学賞に応募しており、
2000年に”オーデュボンの祈り”で”第5回新潮ミステリー倶楽部賞”を受賞しデビューし、数年後に作家専業となりました。
2020年8月時点で13本もの作品が映画化されていて人気ぶりがわかる数字になってます。
今回のオススメ作品
チルドレン
“強烈なキャラと心揺さぶられるセリフに酔う”
元々は”小説現代”に2002年4月号から2004年3月号にかけて短編5編が順次掲載されてそれらが2004年5月21日に講談社より刊行された“チルドレン”
収録されている短編はバンク、チルドレン、レトリーバー、チルドレンII、イン
バンク、レトリーバー、インがほぼ同じ時代のお話で
チルドレンとチルドレンIIは前に出てきている3作品より後の時代が描かれています。
この5つの作品が実はあるところでリンクしていて
伊坂作品はそういうのが多いんだけどそれが心地良い。
そしてこの作品に限った事ではないけど伊坂作品の好きなところは
登場人物とセリフ。
それはこのチルドレン以外もそうなんだけど
このチルドレンは個人的に特にそう感じる。
中でもやはり陣内。陣内。陣内。
なんとも変わり者で実査周りにいたらそれはそれできっと
「めんどくさい奴だなぁ」って思ってしまうぐらいの変わり者。
でもね良い奴。そんな陣内。
この陣内”チルドレン”と”チルドレンII”では家裁調査官となって登場してきて
同僚と居酒屋に行く場面があってそこでサラリーマン達が飲んでいて
TVの犯罪を犯す未成年的な番組を見ながらあーだこーだ言ってるシーンがあって
「こういう奴らは更生なんかできっこない」的な事を言ってるだけど
それを聞いていた陣内がそのサラリーマン達に言い放つセリフが、
まぁカッコいい
そのセリフってきっと陣内が言うから説得力があるというか
カッコいいって思えるんじゃないかなって思ってて
その理由は陣内は本当にそう思ってるって思えるから
本の中の人物だけど陣内なら本当にそう思ってそうだし
そのための行動をしているに違いない!って思わせてくれる
セリフだけじゃなく話自体もちゃんと面白くて
さっき言った5つの短編集がリンクしているつまり
短編集のフリした長編小説的なその感じもあり
物語の中でも「そうきたか…….」的なものが多くてその瞬間
「うわぁぁぁぁぁ!」って言ってしまいたくなる
まぁ言ってないんだけど
死神の精度
“物語の終わりが連れてくる寂しさと清々しさ”
2005年6月30日に文藝春秋から刊行された“死神の精度”
チルドレンと同じく短編なる短編集
ちなみに伊坂幸太郎と出会った記念すべき作品
普段小説というものに触れずに生きてきたのですがひょんな事から手にとった一冊
そこからこんなに読む事になるとは当時は思いもせず
この小説は7日間の間に対象者の生死を決める死神(調査員)と対象者のお話
その死神、千葉といって人間の生死を決める調査員なんだけど
7日間の内に生(見送り)死(可)を決め、可となった場合8日目に対象者は死んでしまう
が、その調査中に死ぬ事はありません。
ちなみにほとんどの調査は「可」となり「見送り」になる事は殆どない
その理由の一つが千葉を含む死神が人間の”死”にあまり興味がない事が関係しているんですと
ちなみに死神の名前は変わらないけど容姿はその時の調査がしやすい容姿にな
そして加えてみんな音楽が好き。否、大好き
作中に「人間の死に興味はないが、人間が死に絶えミュージックが無くなることは辛い」
なんてセリフがでてくる程に
そんな死神千葉を取り巻く6つの物語。
この6つの別々の物語なんだけど
チルドレンでも書いたように短編集のフリした長編小説で
「ん??そうなるんか」 ってなる
先述した死神の設定があるんだけど
その設定が活きてくる
うまく出来てるなって思う
そして最後には
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
って言ってしまいたくなる
言ってないんだけど
この作品の好きなところはさ
読み終わった時の寂しさとそれと同時にくる清々しさ
「あっ…終わっちゃった…物語が…」
とっても寂しくなる
でもラストシーンは清々しい
とっても
きっとそこだけ見ても清々しさはないんだけど
6つの物語を読んだその先に死神というワードとは
真逆の清々しさがまってる
そんな千葉と6つの物語
あっ
そうだ、
千葉が仕事する時はいつも雨。7日間ずっと。だから青空を見た事ないんです。
バイバイ、ブラックバード
“バイバイが出会わせてくれた記憶”
最後にご紹介するのは”バイバイ、ブラックバード”
この小説ちょっと変わった作られ方で双葉社が企画した”ゆうびん小説”という企画で執筆されたもので
フリーペーパー”LOVE書店!”に付いている応募券で応募した中から抽選で50名に届けるというもの
そのゆうびん小説に書き下ろしの最終話を追加した小説
この作品、太宰治の未完の小説”グッド・バイ”のオマージュ
今作の主人公の設定は「何人もの女性と同時に付き合っていた男が、その関係を清算する為に、全く恋愛関係になかった女性の協力を得て一人ひとりを訪ねて歩く」を踏襲してる
作品内容としては主人公の星野一彦が”あのバス”に連れていかれる前に5人の恋人に別れを告げに行くというもの
ちなみに”あのバス”については”あのバス”としか言いようがなくて
そして個人的には”あのバス”がどんなバスかは別にそんなに大切ではないかなって思う
星野一彦を”あのバス”に連れて行くための監視役の繭美
これがまた強烈なキャラクター。
身長180cmで体重180kg。巨漢??いやいや怪物だ。
ちなみに各恋人に別れを告げる時の理由は「繭美と結婚するから」というもの
恋人からしたら「ん?」ってなるわけで
まず、5人の恋人に別れを告げに行くって事は
5股してんだよね5股
おいおいおいおいおい5股?!クズか?!いやクズだ!
って思うんだけど
この星野一彦という男はなんか憎めない
それに計算してなくて
純粋に好きなんだろうね5人の事が
この作品は終始笑わせてくれる面白い作品なんだけど
最後にはちゃんと伊坂作品らしいグッ!とくる展開が待ってる
そしてそのグッ!っとくる展開は主人公である星野一彦の人柄が運んできたもの
恋人に別れを告げに行く話の中で一番好きなシーンは
5人目の恋人「女優の有須睦子」に別れを告げに行く話のワンシーン
女優をやるきっかけとなったある人とのある会話があるんだけど
正直読み進めている時はこういう風に紹介をするぐらい好きな感じではなかったんだけど
その5人目の恋人とのワンシーンで「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
って言ってしまいたくなった所存です
言ってないんだけど
星野一彦が何故そんな人に好かれるかってのは
子供の頃の夢だったりそういったところから生まれてきてるのかな
そしてなんと言ってもラストシーン
小説を読んでいてこんなにも
「頼む!!!!」
って思ったのは初めてかもしれない
好きな伊坂作品まとめ
今回は紹介してない 砂漠だったり、モダンタイムスだったり、ゴールデンスランバーだったり他にも紹介したい作品はたくさんあるんで
あらすじとか読んで「面白そう!」ってのがあったら
まずそれ読んでみてもらえたら
普段小説読まないって人でもとっつきやすいと思うので